採用した人材の労働許可書が取れなかった際の処遇について

新しく採用した現地採用者のWPが取れなかったのですが、それを理由に即時の契約解消はできるのでしょうか?またその場合に保証のようなものは必要なのでしょうか?

法的に雇用してはいけないということになるので契約終了は問題ありませんし、保証の問題も特に生じません。

ベトナムで現地採用者を新しく雇用したが、労働許可書(以下:WP)が取得できなかったという事例があります。この場合引き続き該当の人材を雇用することができなくなりますが、このような事態にあった場合で法令上の適切な対応についてご紹介します。

ベトナム労働法における外国人雇用における条件

労働法第151条ではベトナムで勤務する外国人労働者の条件として以下のようなことが定められています。

a.満18歳以上

b.職業の専門性、技術、経験があり、健康状態が良好→大学卒業証明書、職務経歴証明書、健康診断書

c.外国またはベトナムの法令上で刑罰を執行されていない、犯罪記録がない者→犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)

d.ベトナムが発行したWPを取得している

つまりa~dを満たしていない外国人は雇用することはできないということになります(WP取得義務の免除対象者を除く)が、実質dの条件を満たすためにはa~cをクリアしている必要があります。また法改正により外国人の労働契約期間はWPの期限を超えて定めることはできなくなりましたので、外国人の無期雇用契約は原則できなくなりました。これにより同法第20条2項で規定されている「有期雇用の更新回数限度」も適応されません。

よく聞かれるケース

WPを取得してから入社という形をとっていれば契約解消云々の問題は生じませんが、商用ビザ(DNビザ)で入社させて、そのビザの有効期間中にWPの申請をしているという企業は多いです。現在はコロナ禍の規制によりベトナム国外からの人材を採用した場合その手段を取ることはできませんが、今後規制が解除されると法改正などが無い限り同様のやり方で入社させる企業は相当数あるでしょう。

このような事情から商用ビザで入社させたものの、WPが取得できなくて退職したという事例はちょくちょく聞かれます。ではこのケースに該当した場合、企業側はどのように対応するのが適切でしょうか。

労働契約の即時終了は問題ない

WPの取得ができないと確定した時点で労働契約を終了することは問題ないと考えます。労働法第34条に「労働契約が終了する場合」が定められていますが、同条12項に「同法第156条の規定に従ったベトナムに所在する外国人労働者に対する労働許可書の効力期間が満了した場合」というものがあります。つまりWPの有効期限が終了した場合、たとえ契約上ではそれ以上の期間の契約であったとしてもその契約は終了するということになります。

この点を考えるとたとえ申請中とはいえ、WP取得前の外国人と労働契約を結ぶということに議論の余地がありますが、少なくともWPを取得できない時点で企業は当然契約を終了させなければなりません。法的に当然の契約終了(解除)となるので保証などの問題も特に生じません。

とは言うものの外国人労働者にとって寝耳の水での契約終了はショッキングなことだと思いますので、事前に契約書などに「労働許可書の取得ができなかった場合は契約を終了することができる」といった事前通知をする配慮はあってもいいかと思います。

外国人を採用する際には採用を決定する前に労働許可書の取得可否を確認すべきであり、人材紹介会社などを経由する場合は紹介側がそれを事前に調べた上で紹介するのが筋です。採用後に取得できずに契約解消となると双方で様々な負担が増えますので、外国人採用の際には労働許可書取得可否を事前確認されることをお勧めします。