ベトナム人の新卒採用で想定しておくべきこと

ベトナム人の新卒を採りたいと思っていますが、何か注意することはありますか?

懸念事項を想定した上で社内の人事、教育制度、業務分担を整えておくことをお勧めします。

ベトナムの大学は卒業時期を迎え新社会人としてのスタートを切る時期を迎えています。しかし長期化するハノイ、ホーチミンのロックダウンを受け、就職活動に例年以上の苦戦を強いられるベトナム人新卒者。日本の新卒のように同時期に一斉入社する社会ではないので、各々自分のペースとタイミングで仕事を探していますが、やはり現状の社会状況に不安を覚える学生も少なくありません。今回はベトナム人の新卒採用に関する話を記事にします。

新卒採用を敬遠する日系企業

スタッフクラスであれば圧倒的に中途採用の割合が多い日系企業ですが、新卒採用を避けるのには以下の共通した理由が挙げられます。

即戦力を採用したい、新卒の教育体制がない

即戦力を雇うとなると必然的に中途採用となります。また新卒を採用するとなると業務教育の他、社会人としての常識から教育が必要となってきますが、その教育制度を備えている企業は多くありません。新卒を採用した場合、その部分の教育は直接の上司や先輩にあたるベトナム人の裁量に委ねている企業が大半かと思います。言うまでもなく担当したスタッフによって教育の質が左右されてきます。

新卒は離職率が高い

一番の懸念事項はこの理由になるでしょうか。ベトナム人の中でも輪をかけて離職率が高いのが新卒者です。無作為に選んだ弊社の登録者(100人)の履歴書を見ていますと、大よそ5割の人材は2年以内に最初の会社(つまり新卒で入社した会社)を辞めています。また新卒で入社した会社で3年以上勤めている人は3割に満たない数字が出ています。こういった状況から新卒の採用を敬遠したり、長期的な雇用が見込めないことから新卒者向けの教育制度が出来上がりにくいことが窺えます。

新卒者の転職理由

新卒で入社した会社を3年以内に辞めている理由を登録者に聞いてみると、以下の3つの理由のいずれかを上げる方がほとんどです。

①職種が自分に合ってなかった、他の仕事をやってみたい

新卒者にとって数年は自分に合った仕事や会社を選ぶ猶予期間のようなところがあります。ですので合わないと思ったらスパッと辞めてしまいます。日本のように3年は勤めるべきという思考や短期離職による世間的なマイナス評価もありませんので、合わないと思えば辞めるという決断もよりしやすいのでしょう。

(余談:日本人でいつも辞めたいと言っているのに中々辞めない人がいますが、ベトナム人でその手の人に出会うことは滅多にありません。これは新卒者に限らず当てはまることです。)

➁会社の雰囲気が合わない

会社の方針や社内での人間関係があります。上司が嫌だったという理由や、ローカル企業よりも外資系のほうが肌に合っているという人もいました。若いうちにいくつかの会社を知るということは今後の視野を広げるという意味では悪いことではないと言えます。

③収入、職位を上げたい

新卒は一般的に給料が安いので社内で毎年昇給し続けるより、転職したほうが一気に収入アップを見込めるチャンスがあります。また新卒3年以内で職位を上げたいというのは、日本だと「早すぎるだろ」と思うかもしれませんが、これは現職では上のポジションが詰まっていて、長く働いても昇進の見込みがないということも含まれます。特にスタッフの年齢構成が全体的に若い(40歳以下)会社でよくある話です。

これら3つがよく挙げられる理由になります。偶然か、ベトナム人の退職理由に多い「通勤が遠い」がランクに上がってこなかったのは個人的に興味深いところです。

短期離職ありきの採用と割り切るのも一つの戦略

さて、短期離職のリスクが高い新卒ですが、どのような部分を想定して新卒採用を考えるべきでしょうか。

飲み込みの早い優秀な新卒人材はもちろんいますし、低い給与でも募集をかけやすいというメリットもありますので、離職率が高いという理由だけで新卒採用を敬遠するのは少しもったいない気もします。

であれば短期離職を想定した上で、離職されても替えの利きやすいポジションに配置して回す、といった業務の仕組みを作るのも一考でしょう。仮に長期的に勤めてくれれば、その時期に見合った教育や人事異動、待遇をしっかりしていくといったことも可能です。思わぬ形で強力な生え抜き人材を育て上げることもできるかもしれません。

ベトナム人の転職事情を鑑みますと、企業側がどれだけ努力をしても従業員の退職を減らすのは難しい部分もあります。であれば逆にその点を踏まえた上で人事戦略を立てることも、長期的且つ円滑なオペレーションを実現する上で必要なことだと考えます。